遺言執行者(遺言執行人)について

  • 遺言執行者(遺言執行人)とは
  • 業務内容
  • 遺言書の写しを送付
  • 相続財産目録を作成・交付
  • 遺言執行者の選任方法
  • 選任するメリット
  • 選任するデメリット
  • まとめ

遺言執行者とは

遺言執行者は、遺言者が亡くなった後に、遺言書に書かれた内容を実現するために、相続手続きを行う人です。遺言執行者は、相続人や遺言執行者自身が行う相続手続きを代行することができます。

 

★遺言執行者の必要性

遺言書を作成する際は、遺言者の意思を実現できる遺言執行者を選任しておくのが理想的です。遺言執行者が必要なケースとして、「認知」、「推定相続人の廃除・取り消し」、「一般財団法人の設立」が挙げられます。

・認知

法律上、婚姻関係のない男女を父母に持つ非嫡出子に対し、遺言により認知することが可能であり、認知届の提出には遺言執行者の選任が必要です。

 

・推定相続人の廃除・取り消し

被相続人が推定相続人から重大な侮辱や虐待などを受けており、当該相続人を廃除する旨の遺言がある場合、遺言執行者が家庭裁判所に対して相続の廃除(又は廃除の取消し)の申立てを行う権限を与えられています。

・一般財団法人の設立

一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第152条の2項では、遺言により一般財団法人を設立する意思が示せると記載されています。この場合、一般財団法人の設立には遺言執行者の指定が不可欠です。

 

遺言執行者を選任する際には、遺言者の意思を実現できる人物を選ぶことが大切です。遺言執行者は、遺言書の内容に基づいて、相続財産の管理・処分、相続税の申告、相続関係の調整などの手続きを行います。遺言執行者が適切に手続きを行うことで、遺言者の意思が円滑に実現されます。

業務内容

★遺言執行者の就任通知書を作成と連絡

遺言執行者は、相続人に対して遺言執行者に就任した旨を通知する通知書を作成し、全ての相続人に連絡する必要があります。遺言執行者になることを拒否された場合は、相続がスムーズに進まない可能性があるため、故人の生前から遺言執行者になって欲しいという旨を伝えておくことが重要です。

 

★遺言書の写しを送付

遺言執行者は、相続人に対して遺言書の写しを送付する必要があります。遺言書の写しは、遺言執行者就任通知書に同封して送付することができます。なお、相続人に遺言の内容を知らせることは、民法1007条第2項で義務付けられています。そのため、遺言執行者への就任を承諾したら、速やかに遺言書の写しを送付するようにしましょう。

 

★相続財産目録を作成・交付

相続財産目録とは、被相続人のプラスの財産とマイナスの財産を、わかりやすく整理した文書です。財産の種類、所在地、評価額、所有者、相続人、債権者、債務額などを記載します。相続財産目録は、相続税の申告や遺産分割協議を行う際に必要です。正確な相続財産目録を作成するために、相続財産の調査をしっかりと行いましょう。

 

★金融機関の解約手続き

遺言執行者には、遺言書に解約権限等を与える旨を記載することで、遺言者名義の口座の解約手続きを行う権限が与えられます。解約手続きを行うためには、金融機関に相続手続依頼書、被相続人の除籍謄本、対象口座の通帳やキャッシュカード、遺言書などの書類を提出する必要があります。

 

★相続財産の登記

遺言執行者は、相続財産の登記手続きを行う権限も有しています。

 

★財産の名義変更

遺言執行者は、相続財産の名義変更を行う権限も有しています。

相続財産の名義変更は、相続財産の種類によって異なります。

  • 自動車:陸運局で名義変更手続きを行う
  • 有価証券:証券会社や信託銀行で名義変更手続きを行う
  • 株式:証券会社で名義変更手続きを行う

 

★完了後には書面で報告

遺言執行者は、遺言書に書かれた内容を実現するために、相続手続きを行う人です。遺言執行者は、相続手続きが完了したら、相続人に対して速やかにその旨を報告しなければなりません。報告書には、遺言執行に係る業務の内容、手続きを実行した日付、業務期間中に収支内訳など、相続人が知るべき事項を記載する必要があります。

遺言執行者(遺言執行人)の選任方法

 

相続人との間でトラブルにならないかどうか相続財産の管理・処分を行うための能力があるかどうか遺言書の作成とともに遺言執行者を選任するケースが増えています。相続のトラブルを避けるために重要な役割を担う遺言執行者ですが、中には、相続人との間でトラブルに発展することもあるようです。

 

遺言執行者を選任する際には、次の点に注意が必要です。

  • 遺言者の意思を公平かつ正しく解釈できるか
  • 相続財産の管理・処分を行うための能力があるか
  • 相続人との間でトラブルにならないか

遺言執行者を選任する際には、これらの点を考慮して、相続人の意思を尊重し、トラブルを回避できる人物を選ぶことが大切です。

 

★遺言執行者(遺言執行人)になれる人

遺言執行者になるための資格や条件はありません。ただし、民法によって、未成年者と破産者は遺言執行者になれないと定められています。

 

また、法的な知識のある弁護士・司法書士・行政書士・税理士などの専門家に依頼することや信託銀行などの機関に依頼する方法もあります。

 

遺言執行者になる場合は、相続の手続きをスムーズに進めるために、専門家に相談することをおすすめします。

 

★選任方法

遺言執行者の選任は、次の3つの方法があります。

  1. 遺言書で指定する
  2. 第三者に指定してもらう
  3. 家庭裁判所に選任してもらう

 

遺言書で遺言執行者を指定する場合、相続が発生した際に困惑させないように、遺言書作成前に遺言執行者に選任する旨を事前に伝えておくようにしましょう。

 

遺言書で遺言執行者を指定するのではなく、遺言書の中に遺言執行者を誰に決めてもらいたいか記載し、指定した第三者によって遺言執行者を選定してもらうという方法もあります。また、遺言書に遺言執行者の記載がとくにないケースや、指定した遺言執行者が就任を拒否したり亡くなったりした場合は、家庭裁判所に遺言執行者を選任するための申立てを行うことが可能です。

 

遺言執行者を選任するメリット

遺言執行者を選任することで、相続手続きを円滑に進めることができます。遺言執行者には、遺言内容を実現するために必要な権限が与えられています。そのため、相続人同士のトラブルを防ぎ、スムーズに相続手続きを進めることができます。

 

遺言執行者を選任する際には、遺言者の意思を尊重し、相続人同士のトラブルを回避できる人物を選ぶことが大切です。少しでも不安に感じる要素があれば、専門家に依頼することも検討するとよいでしょう。

遺言執行者を選任するデメリット

遺言執行者は、遺言書の内容に基づいて、相続財産の管理・処分、相続税の申告、相続関係の調整などの手続きを行います。遺言執行者には、相続関係や法律の知識が必要となります。そのため、相続に関する知識が十分でない人物を遺言執行者として選任した場合、手続きが滞るおそれがあります。中には、期間制限が設けられてる手続きもあるため、遺言執行者には相応の負担がかかります。

 

専門家を選任した場合、安くはない報酬額が発生する点がデメリットになるかもしれません。しかし、段取りよく相続に必要な書類を集めたり、戸惑うことなく手続きを進めたりできる点では心強いでしょう。

 

遺言執行者を選任する際には、遺言者の意思を尊重し、相続手続きを円滑に進めることができる人物を選ぶことが大切です。少しでも不安に感じる要素があれば、専門家に依頼することも検討するとよいでしょう。

まとめ

遺言執行者とは遺言内容を執行するために、単独でさまざまな相続手続きを行う権限を有します。未成年者や破産者以外であれば誰でも就任できますが、選任を誤ると手続きがスムーズに進みません。

 

相続に関する手続きは難解で複雑なため、法に詳しい専門家に選任依頼するのも一案です。遺言執行者の選任にはメリットとデメリットの両面があります。時間に余裕があれば遺言書を作成する前に弁護士や税理士、司法書士や行政書士などの専門家に相談されるのもよいでしょう。

 

以下は、遺言執行者を選任する際のメリットとデメリットです。

メリット:

・相続手続きを円滑に進められる

・相続人同士のトラブルを防げる

・遺言者の意思を尊重できる

 

デメリット:

・報酬が発生する

・責任が重い

・手間と時間がかかる場合がある

 

遺言執行者を選任するかどうかは、遺言者の意思や相続人の状況によって異なります。遺言執行者を選任するかどうか迷っている場合は、弁護士や税理士、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

★遺産分割協議

 

 

■基本的なルール
遺産分割協議は必ず法定相続人全員で行ってください。

協議開始の呼びかけは法定相続人の誰が行ってもかまいません。

もし、相続人全員が協議に参加できなかった場合には、協議自体が無効になりますので注意して下さい。

しかし、必ずしも本人が協議に参加しなければならないということではなく、代理人による協議参加も可能です。
また、相続人が遠方に離れて住んでいるような場合には、原案を郵送したり、電話で話し合いを進めることもできます。

■注意事項
法定相続人の中に未成年者がいる場合

未成年者の場合には、単独での協議参加はできません。必ず代理人を立てることが必要になります。
通常、親権者が代理人となりますが、親権者自身が法定相続人にあたるような場合には利害が対立しますので、親権者は代理人にはなれません。

例えば、夫が被相続人で妻と未成年の子が相続人に当たる場合など。この場合、家庭裁判所に代理人(特別代理人といいます)を選任してもらいます。

■遺産分割協議書の作成
全員が参加した遺産分割協議が終わり内容に同意があった場合には、内容を書面にした遺産分割協議書を作成します。

遺産分割協議書は必ず作成しなければならない義務はありません。しかし、同意があったことを明確にし、後日の紛争を防止するためにも是非作成されてください。
*不動産の名義変更手続き、銀行やゆうちょの預貯金払い戻しの際には遺産分割協議書が必要です。

一旦はまとまった分割協議が、日にちを挟むことで不平不満の声が出てこないとも限りません。

同意後、速やかに作られることがトラブル防止にもつながります。

なお、用紙や書き方についての指定はなく、手書きでもパソコン印字でも構いません。

押印した印鑑や住所の確認に必要となりますので、各相続人について印鑑証明書を用意して下さい。

遺産分割協議書を作成する際のポイント
1.遺産分割協議書の作成日を記入する
2.相続人全員による署名・押印が必要
3.相続人の住所については、住民票に記載されている表示とおりに記入する
4.誰が、何を、どれだけ相続するのかを明確に記入する
5.相続財産の中に不動産がある場合には、登記簿謄本に記載されている表示とおりに記入する
6.遺産分割協議書のページが複数枚になった場合は、ページとページの繋がりが分かるように割り印を押す
7.相続人の全員が保管できるよう人数分を作成する
8.協議終了後に、新たな財産が見つかった場合の対応について記入しておく


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★争族になりやすい可能性は?

これまでの経験から、争続に発展するおそれのある場合を何点か羅列してみました。試しに数えてみてください。それでは軽く前半のチェックから

 

  • 相続人の数が多い(6人以上いる)
  • 生前から親子の関係がうまくいっていなかった
  • 兄弟姉妹の関係が希薄で、普段から付き合いがない
  • 離婚や再婚に伴う、先妻の子や養子にした後妻の子がいる
  • 本妻以外に認知した実子がいる
  • 相続人間の財産格差が大きい
  • 財産に占める現金や預金の割合が低い
  • 相続人の中に極端な自己主張する人がいる
  • 遺産分割協議などにおいて主体的な立場の人がいない
  • 相続人の中に必要以上に口出しをする配偶者がいる

とりあえず10点ほどを書いてみましたが、気になる項目がありましたか?

 

 

1つ2つ、該当する方は珍しくはないと思います。心配しないでください。それでは続けて後半のチェックです。 

 
  • 全く連絡のとれない所在不明の相続人がいる
  • 未成年者である代襲相続人がいる
  • 被相続人(亡くなられた人)の行っていた事業を承継する後継者が決まっていない
  • 財産の中に賃貸用の不動産資産がある
  • 財産の中に経営してきた自社の株がある
  • 遺言書を残していない
  • 争続をさけるために遺言書を作成したが、書かれた内容が余りに極端な分け方になっている
  • 遺言書の記載が抽象的な表現なので、具体的にどの財産を示しているのかが特定できない
  • 生前における被相続人に対しての貢献度に大きな差がある
  • 住宅資金や留学費用など、生前贈与を受けた金額に大きな差がある

いかがでしょうか?


1つも当たらないという方は珍しいかと思います。ただ、大げさな言い方をすれば、1つでも該当する場合には少なからず危険性があります。


専門家の視点からすれば、前半後半で合わせて5つ以上にチェックがはいる場合には、現実的に争続になる危険性が高いと判断されます。 


多くに該当する場合には、生前中の早い時期から対応を考えておく事が大切です。

 


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