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遺言執行者とは、遺言書に書かれた内容を実現するために必要な手続きをする人のことです。実際の作業としては相続財産の調査や財産目録の作成、金融機関における預金解約などの相続手続き。法務局への不動産名義変更手続きなど遺言を実現するために必要な一切の行為をする権限を含みます。つまり、相続人代表者として遺言内容を実行していく人のことです。
資格はありません。弁護士や司法書士、税理士などの国家資格を持つ専門家でなくても誰でも遺言執行者に就任できます。ただし、未成年者及び破産者は遺言執行者となることができません。
一般的には下記の2つです。
1 遺言書による指定
遺言書の中に「弁護士Aを遺言執行者に指定する」など記載しておく選任法です。この方法で指定する場合には事前に就任予定者に記載の了承を得ておいた方がよいでしょう。
2 家庭裁判所による選任
遺言書に遺言執行者の記載がない場合や遺言執行者に指定された人が拒否したり、既に亡くなられていたなどの場合には家庭裁判所に遺言執行者選任の申立てを行うことができます。また、遺言執行者の候補者を指定して申立てを行うことも可能です。
遺言執行者は未成年者や破産者でなければ相続人の中から選任し就任可能です。遺言書に遺言執行者が記載されていない場合には相続人全員で手続き業務を行う必要があります。遺言執行の作業は多種に渡ることから相当の労力が必要です。例えば、銀行や役所の窓口は平日の昼間にしか開いていませんので手続きを行うためには仕事を休む必要も出てきます。さらに法的立場での手続きを進めることから難しくて、手続き途中でお手上げになってしまうことも考えられます。そのような理由から信頼できる専門家に依頼する判断も必要です。
遺言執行者を業務とする専門家には弁護士や税理士、司法書士や行政書士などの士業のほかに信託銀行があります。相続手続きや相続税申告に慣れていることから、多種で難解となる遺言執行業務をスムーズに進めることができます。各専門家ごとに得意分野があり、例えば相続トラブル発生がある場合には弁護士に。不動産が多く相続登記の手続きが多い場合には司法書士に。相続税の計算や税務署への申告が必要な場合には税理士に遺言執行者を選任すると、付随する業務を同時並行的に進めることができます。専門家に依頼する場合には報酬額(費用)だけではなく付随する業務も重要になってきます。
信託銀行における「遺言信託」では、遺言信託を利用しても実務では相続税申告は税理士へ不動産登記は司法書士へ外注されます。よって各専門家への別途費用が発生し費用が弁護士などの士業に依頼した場合に比べて、かなり高額な報酬額となります。また、最低報酬額も100万円に設定されていることが多く安心感以外には大きなメリットはありません。
遺言執行者への報酬は相続財産から支払われます。報酬額は遺言書の作成時に記載する方法、遺言執行者と相続人間の協議により決める方法、客観的に家庭裁判所に申し立てをし報酬額を決めてもらう方法があります。
遺言執行者の報酬には制限がないので無報酬と決めることも可能です。ただ、相続人のひとりが時間も手間も必要となる遺言執行を引き受けることは、相続人間においての不公平感やトラブルの原因につながる心配は捨てきれません。相続人の誰かが引受けた場合でも適正な報酬額を受け取ることは問題ありません。
弁護士や税理士などの専門家に遺言執行を依頼した場合、各事務所に支払う報酬必要となります。どの専門家士業においても管轄する業界が定める報酬基準はありません。それぞれの事務所ごとに金額はバラバラです。一般的には遺産総額の1%から3%の範囲内で報酬額を決めている場合が多いと思います。専門家士業のホームページを各5件ずつ確認して報酬額の目安を表にしてみました。
弁護士 | 税理士 | 司法書士 | 行政書士 | 信託銀行 | |
---|---|---|---|---|---|
5000万円以下 | 40~60万円 | 30~50万円 | 30~50万円 | 30~40万円 | 60~100万円 |
5000~1億円以下 | 60~130万円 | 50~100万円 | 50~110万円 | 40~100万円 | 100~150万円 |
1億円~3億円以下 | 130~300万円 | 未確認 | 110~250万円 | 未確認 | 150~500万円 |
報酬の支払いは相続人全員で負担します。支払時期については遺言内容の執行が完了してからとなります。実務では相続財産の中から遺言執行者への報酬を支払って、残った額を相続人に分配する方法も多くとられています。ただ、トラブル防止を重視した場合、相続財産から報酬を相殺することは少なからず心配があります。その観点から柳和久税理士事務所では相殺はおこなわず、まずは遺言内容の執行を第一に業務をすすめます。報酬の請求は業務完了後に出させて頂いております。
おさらいとなりますが、遺言執行者はどなたでも選任可能です。また、必ずしも選任する必要はありません。ただ、相続トラブルも増加傾向にあることから、トラブル防止や遺言書に残した被相続人の気持ちをスムーズに実現するためにも、遺言書を作成時にこそ遺言執行者の選任も含めた検討をさせてください。
名古屋税理士会
名古屋北支部所属
税理士 登録番号79114
愛知県行政書士会
西北支部所属
行政書士 登録番号18192020
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