平成28事務年度における相続税の調査の状況について

 

★平成28事務年度における相続税の調査の状況について

注目 まとめ
★相続税に関する最新の調査動向について


相続税に関する最新の調査動向が公表されました。公表データのうち、重要項目について簡単にまとめてみました。該当データは平成28年7月〜同29年6月までの統計です。今回公表されたデータから、全国統計と愛知名古屋との違いを明らかにするために、2つに大別して考えてみます。

 

★国税庁ホームページ「平成28事務年度における相続税の調査の状況について

https://www.nta.go.jp/kohyo/press/press/2017/sozoku_chosa/index.htm

 

表 国税庁ホームページよりデータ抜粋


相続税の調査事績の概要

事務年度 平成27事務年度 平成28事務年度
実地調査件数A 11,935件 12,116件
申告漏れ等の非違件数B 9,761件 9,930件
非違割合 (B/A) 81.8% 82%
追徴税額 583億円 716億円
1件当たり追徴税額 489万円 591万円

全国税局での動向


1 実地調査件数及び申告漏れ等の非違件数
公表データによれば実地調査の件数は12,116件と、前年度11,935件に対して若干の増加。このうち申告漏れ等の非違があった件数は9,930と、こちらも前年度9,761件から若干ですが増加しています。重要なのは非違割合。今回のデータでも非違割合は82%。つまり、実地調査を受けた場合には、8割以上の高確率で申告漏れ等の指摘がされたという事です。


2 申告漏れ相続財産の金額の内訳
申告漏れのあった財産を内訳別に多い順に並べてみたところ、1番多い漏れは「現金・預貯金等」で、続いて「有価証券」、「土地」の順番(図参照)になっています。

画像引用 国税庁ホームページより

 

付表2 申告漏れ相続財産の金額の構成比の推移

画像引用・国税庁HPより引用28年相続調査.gif

3 追徴税額

実地調査の結果、申告漏れ等の指摘がなされ修正申告等による追徴税額(加算税を含む)は716億円と、前年度583億円に対して大きく増加しています。なお、1件当たりの追徴税額も591万円と、こちらも前年度489万円から大きく増加しています。

 

次に、事務所のある名古屋市内を含む、名古屋国税局管内の調査データを確認します。

 

★名古屋国税局ホームページ「平成28事務年度における相続税の調査の状況について」

https://www.nta.go.jp/nagoya/kohyo/press/h29/sozoku_chosa/index.htm

 

表 名古屋国税局ホームページよりデータ抜粋


名古屋国税局管内における相続税の調査事績の概要

事務年度 平成27事務年度 平成28事務年度
実地調査件数A 1,722件 1,886件
申告漏れ等の非違件数B 1,449件 1,595件
非違割合 (B/A) 84.1% 84.6%
追徴税額 96億円 87億円
1件当たり追徴税額 557万円 462万円

名古屋国税局管内での動向

 

1 実地調査件数及び申告漏れ等の非違件数
公表データよれば実地調査の件数は1,886件と、前年度1,722件に対して増加。このうち申告漏れ等の非違があった件数は1,595件と、こちらも前年度1,449件から増加しています。重要となる非違割合は今回のデータでも、非違割合は84.6%と相当に高くなっています。

つまり、実地調査を受けた場合には、8割以上と大変に高い確率で申告漏れ等の指摘がされるという事です。これは全国平均である82%と比べても高い率となっており、ひと言で書くと愛知名古屋の相続税調査は厳しいとの結論です。


2 申告漏れ相続財産の金額の内訳
申告漏れのあった財産を内訳別に多い順に並べてみたところ、1番多い漏れは「現金・預貯金等」で、続いて「有価証券」、「土地」の順番(図1参照)になっています。ちなみに全国平均でも、現金預金等、有価証券、土地の順番で名古屋国税局管内と同じ結果となっています。


画像引用 名古屋国税局ホームページより
付表2 申告漏れ相続財産の金額の構成比の推移

 

画像引用・名古屋国税局HPより引用28年相続調査.gif

3 追徴税額

実地調査の結果、税務署側から申告漏れ等の指摘がなされ修正申告等による追徴税額(加算税を含む)は87 億円でした。1件当たりでは462 万円となっています。ちなみに、全国平均では、実地調査1件当たりでは591万円。税額では129万円も全国平均に比べると、名古屋国税局管内の方が少ない追徴税額となっています。前年調査とは一転して1件当たりの追徴税額は減少しましたが、それでも1件当たり462万円もの追徴税額。税務署による実地調査はかなり厳しい結果になる事が多いようです。 

 

税務調査への対応法については、次のページをお読み願います。