自民党と公明党の両党は「平成25年度税制改正大綱」を公表しました。

私どものホームページでも以前(23年度改正案)よりお伝えしてきました、相続税の改正がいよいよ実施に向けて本格的な動きとなってきたようです。
去る1月24日、自民党と公明党の両党は「平成25年度税制改正大綱」を公表。改正案は相続税、贈与税に限らず主要税目である所得税、法人税の改正も当然に含まれます。

なお、このサイトは相続に特化した内容となっていますので、公表された相続税改正についてのみ書きます。

お願い
相続税改正への関心が高いのか、ホームページを通じて多くのお客様からお電話でのお問い合わせがあります。確定申告の季節柄、私ども税理士事務所も忙しく仕事に追われる毎日です。特に私どものような小さな事務所では、土日の休みもなく働いているのが実態です。そのような事情をご考慮頂き、税制改正についてお電話でのお問い合わせはご遠慮下さい。何卒、ご了承願います。
また、相続税申告、贈与税申告のご相談、ご依頼についてもまずはお問い合わせフォームよりお願いいたします。


ご注意
改正案が正式決定されるのは25年3月の国会における成立後となります。
なお、改正の施行時期は多くのものが平成27年1月1日以後(2015年)に開始する相続からとなります。

改正までの流れ
税制改正法案を国会に提出

 可決(3月中)

   成立

   施行 

という流れとなります。


主な改正点
(1)基礎控除額が4割縮小します
従来の「5,000万円+1,000万円×法定相続人数」から、改正後は「3,000万円+600万円×法定相続人数」に縮小します。
よって、従来は相続人が3人の場合、8,000万円以上の遺産がなければ相続税はかかりませんでしたが、改正後は4,800万円以上の財産があれば相続税が課税されることになります。

 

 現行

改正後 

 基礎控除額  5,000万円+1,000万円×法定相続人の数  3,000万円+600万円×法定相続人の数

(2)相続税の最高税率が55%に引上げられます
従来の最高税率であった50%から55%に引上げられます。また、税率区分も6段階から8段階に細分化され、6億円超の遺産に最高の55%、2億円超3億円以下には新たな税率区分として税率45%が設けられます。

 現行

   

 改正後

   
 課税財産  税率  控除額  課税財産 税率  控除額 
 1,000万円以下  10%  -------   1,000万円以下  10%  -------
 3,000万円以下  15%  50万円   3,000万円以下  15%  50万円
 5,000万円以下  20%  200万円   5,000万円以下  20%  200万円
 1億円以下  30%  700万円   1億円以下  30%  700万円
 3億円以下  40%  1,700万円   2億円以下  40%  1,700万円
 3億円超  50%  4,700万円   3億円以下  45%  2,700万円
        6億円以下  50%

 4,200万円

        6億円超  55%  7,200万円



(3)生命保険控除に制限が加わります
相続税の非課税枠として、生命保険金には「法定相続人×500万円」の非課税枠は残ります。ただ改正後の控除については、法定相続人のうちで未成年者、障害者又は相続開始直前に被相続人と生計を一の相続人に限定されます。
よって、例えば亡くなられた親から独立した子供などには非課税枠はなくなります。

 

(4)未成年者等の控除額が引上げられます。

 

現行 

改正後 

 未成年者控除額  6万円×20歳までの  10万円×20歳までの年数
 障害者控除額  6万円×85歳までの年数  10万円×85歳までの年数
 特別障害者控除額  12万円×85歳までの年数  20万円×85歳までの年数



(5)小規模宅地等の相続税の課税価格の計算の特例の改正(平成27年1月1日以後の相続から)

  1.特定居住用宅地等に係る特例の適用対象面積の拡大

  現行 240㎡ 
  改正案 330㎡

  2.特定居住用宅地等と特定事業用宅地等の併用適用が可能に

   簡単に説明が難しいので割愛いたします。 


*税理士の視点から*
以上のとおり相続税が改正されれば、課税対象者が大幅に増えるかもしれません。特に東京や大阪、名古屋などの都市部で持ち家があり、預貯金や株式などの財産が1,000万円程度をお持ちであれば、相続税の課税対象になる可能性があります。
これまで相続税の心配がなかった場合でも、税務申告や納税が必要となる事案が増えると予想しています。政府方針でも相続税の申告割合を、現在の4%から6%へと増やす方向での改正となっている事からも明らかです。

相続後の税金がご心配のお客様は、一度、ご自分の相続財産を書き出して相続税を試算してみる必要があります。


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